話題の人登場 2011年10月23日記(深川耕治)

   



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広東省仏山市の幼女ひき逃げ事故で基金活動に注目が集まる広州華南師範大学の淡方教授

 中国広東省仏山市で10月13日、ひき逃げされた2歳の女児(悦悦ちゃん)が現場を通りかかった人たち18人に見て見ぬふりをされて救助されることなく別の車にもひかれて死亡した。

 事故の一部始終は防犯ビデオで録画され、その詳細がネットで出回って国内で衝撃を与え、「道徳の空白」「18人を厳罰にせよ」「民族の悲哀」などの世論が沸騰。

 実際に女児を助け起こしたのはくず拾いを生業とする陳賢妹さんだったが、陳さんも加害者の目で見られ、誤解を解くのに大変苦労した。その後、この事件が大々的に報じられ、「人助けは些細なこと。こんなことで有名になりたくない」と話すなど、取材殺到で生活を妨げられる不満を漏らしている。

 地道に弱者救済のために活動を続け、ウェブサイト「中国好人網」や中国好人基金を立ち上げたことで、この事故をきっかけに注目が集まり、募金が徐々に増えるようになった。

 「国内では人助けをしたのに加害者扱いされて無実の罪に帰せられるケースが多い。仏山での事故でも最後に助けた陳賢妹さんが濡れ衣を着せられそうになったのは、まだ、小さな例で、多くは裁判で巨額の損害賠償を請求される例も少なくない」と話す。

 急速な経済成長の裏で互助の精神が失われていく中国社会で「善いことをすれば善い報いを得る」との伝統が薄れ、真逆になるとの意識が広がることに強い危機感を抱く。

 2008年に四川大地震の支援のため、中国好人基金を自己資金10万元(1元=12円)で立ち上げた後、今年3月に中国好人網を創設したのも、2006年11月、南京市内のバス停で転倒して骨折した女性を善意で助けた男性が加害者にされて裁判の一審で約4万5千元の支払いを命じられたことがきっかけだ。

 その後も、同様の裁判が国内各地で起こり、人助けを恐れる風潮が広まっていることに民族の「良心の死」を憂えている。

 「実を言うと、国内の基金で最も資金が窮している基金会だったが、仏山の事故後、義援金が増え始めた。善意で人助けをした人が無実の罪で賠償金を請求された場合、基金が支援金を出すことで少しでも善意が報われる社会を築きたい」と訴えている。

 また、「最近では、湖北省の張お婆さん(78)が一番熱心に募金している人。毎月、自分の退職金の中から100元募金し、すでに5700元になっている。実は私の母親です」とも。基金会が発行する「中国好人」という専門誌も発刊にこぎ着けた。

 湖北省●(サンズイに希)水県出身。華中師範大学を卒業し、現在は広州華南師範大学教授(専門は公益慈善活動)。52歳。





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