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2008年12月2日記 最新中国株情報 WINTRADE


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タクシー業界、待遇改善のスト頻発 中国
首謀者不在の集団交渉が奏功
高額管理費削減求める運転手ら


 高額な管理費徴収で生活苦に耐えられない重慶のタクシー運転手らが管理費削減、ガソリン代値下げを求めて大規模ストを展開し、当局が要求を大幅に受け入れた。重慶を皮切りに全国各地のタクシー運転手がストを決行して拡大、他業種にも飛び火しかねない。スト厳禁の中国で当局との交渉を有利に進める労働者の抗議行動は首謀者の「顔」が見えない新たな団体交渉に転じ、地殻変動を起こしつつある。(深川耕治=08年12月2日記)


■打つ手なく妥協する地方政府

12月1日午前、広東省広州市内のタクシー約1万3000台が休業してストを決行。公安当局は市交通局の周囲を警備した

 11月3日早朝、重慶でタクシー運転手らが集団でストを展開。高額の管理費上納を義務づける当局に改善を求め、二日間、約一万六千台のタクシーが運転を止めて交通は麻痺(まひ)し、ストは続いた。他地域でも同様の小規模ストは発生しているが、例外なくスト首謀者を公安当局が連行、拘束し、ストの強行をねじ伏せてきた。

 しかし、重慶の場合はネット世論を支持につけ、過酷すぎる労働待遇の改善を求め、集団交渉する形式でストを展開。党政治局員で重慶市トップの薄煕来重慶市委書記がストを行ったタクシー運転手ら一部と直接対話することで問題解決につなげた。

 同市のタクシー運転手は所属会社に車両貸借料、駐車料、市政府に支払う管理費を含めて毎月約七千元(1元=14円)の管理費を納め、ガソリン代や洗車代、車両保険など三千元前後を自己負担。国内他地域でも同様の高い管理費は強制義務化され、朝から晩まで働いても実収入は総売り上げの約一五〜二〇%程度にあたる二、三千元にしかならない苦しい生活が続いている。とくに今年に入ってのガソリン代高騰、違法営業する白タクへの取り締まりの有名無実化もあり、ガソリン標準価格が下がっても売値を下げない地元政府の対応に不満が集中していた。

 九〇年代も待遇改善を求めるストが各地で発生したが、地方政府は労働者がストを行うことが法律上禁じられている違法性を盾に首謀者を拘束し、封殺してきた。だが、今回の重慶のストは首謀者を特定できない手法を使い、ネット世論も喚起することで市政府の対応を変えさせた。「合い言葉や綱領、組織を持たず、タクシー運転手らが自発的に拡散させる手法でストを実行したことが当局との交渉を成功させた要因」(香港誌「亜洲週刊」最新号)との分析もある。

 その後、わずか一ヶ月以内で同様の手法を使い、海南省三亜市、甘粛省永登県、広東省汕頭(スワトウ)市、茂名市、広州市、河南省南陽市、陝西省周至、湖北省随州など二十省市で次々とタクシー運転手によるストが連続発生している。

 上海のリニアモーターカー敷設工事の立ち退き反対や福建省アモイでのポリエステル原料となるパラキシレン(PX)化学工場建設反対で当局に抗議する際、デモ形式ならば公安当局から厳しい取り締まりに遭うと見た市民らは「散歩」という形で黙々と歩きながら抗議する新たな手法をとって強硬施行を阻んだ。重慶のストは違法性を見出しにくいこの動向をしっかり見据え、組織責任者の「顔」が見えない集団交渉という形でストを展開したことが功を奏した。

 北京五輪直前の七月、重慶市内のタクシー運転手百人が二カ所に自発的に集まり、沈黙の抗議活動を展開。しかし、公安当局は一部始終を録画し、参加者に罰金支払いを命じて脅し、デモは自然散会させられた苦い経験を持つ。そこで大規模ストを決行するため、公安当局の目につきにくいガソリンスタンドや大衆食堂など不特定多数の場所でスト情報を口頭で交換。ごく一部にはビラを一人五枚ずつコピーしながら伝達させ、公安当局に画策した証拠を残さず、首謀者が見えない戦略を展開して大規模ストから集団交渉に持ち込んだ。

■交通麻痺、暴動恐れ四苦八苦

 重慶市当局はスト当初、「少数の画策者グループが背後でコントロールしている」と批判、犯人あぶり出しに公安当局は奔走したが、嫌疑をかけられたタクシー運転手を取り調べて家宅捜索しても証拠が出ない繰り返しだった。捜査が進むうち、市当局は同ストがタクシー業界全体の抱える不当な管理費問題への共通した抗議であると結論づけ、党に刃向かう反乱分子あぶり出しによる解決では収拾がつかないと判断。待遇改善を図る突破口として国内のタクシー業界のストに大きな潮流を醸成することになった。

 しかし、広東省スワトウでのストでは市当局が「背後に黒幇(暴力団組織)がコントロールしている」と断じる旧態依然のままの地方政府も残っており、全国一律に解決できる手法とは言い切れない。

12月1日午前8時半からタクシーのストを決行する内容のビラが広州市内で配られたが首謀者の「顔」は見えない

 広東省広州では一日、市政府庁舎前にタクシー運転手らが集まり、待遇改善を求めて抗議活動を展開。市内タクシー一万八千台のうち、約七割にあたる一万三千台が休業し、ストを決行した。十一月十五日にもストを計画していたが、当局が三ヶ月間で一律一千五百元の生活補償費の支給を承諾し、スト中止に持ち込んでいた。だが、同月二十三日、酔った市党委員会幹部を名乗る乗客が運転手に暴力を振るう事件がきっかけでタクシー運転手百人と警官隊が衝突。不満がくすぶっていた。

 市当局はデモ前日の三十日、タクシー運転手に対して管理費毎月五百元削減と毎月三百元徴収していた駐車服務費支払いの撤廃を決め、ガソリンスタンドの新規設置増、タクシー運転手用の公衆トイレ増、無許可営業している白タクの徹底取り締まりなどを実施することを公表。市庁舎前の抗議やタクシー運転手によるストで社会不安が高まったり、市内が混乱することを強く憂慮している。

 今月、中国は一九七八年に改革開放路線を決定して三十年の節目を迎えた。しかし、国内初の経済特区となった改革開放のシンボル都市・広東省深セン(土ヘンに川)や台湾企業が集中する同省東莞では世界的な金融危機の影響で米国への輸出を牽(けん)引している製造業関連企業が次々と倒産し、失業者が急増。倒産企業の未払い金を地方政府が肩代わりする動向とタクシーストは重なり合う部分もあり、景気冷え込みによる社会不安を沈静化させたい地方政府と生活苦にあえぐ労働者の集団交渉は従来とは潮流が変わりつつある。(深川耕治=08年12月2日記)








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