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2009年8月9日記 最新中国株情報 WINTRADE


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失業漢族の腹いせ偽情報が暴動に ウルムチ騒乱1ヶ月
広東省韶関の暴動から情報錯綜
簡単にネット情報流布、盲点に
裁判は9月に延期、再暴動懸念

 死傷者1000人以上を出した7月5日のウルムチ暴動から1ヶ月以上が過ぎ、勃発地である新彊ウイグル自治区の区都ウルムチ市内は表向きは社会秩序を回復したように見える一方、依然として公安当局による厳戒態勢が続いている。拘束された1500人のうち718人が刑事拘留され、裁判は今月から9月に突如延期され、暴動後の政府対応が少数民族問題の新たな火種にならないよう建国60周年記念日まで神経戦が続いている。(深川耕治=09年8月9日記)

6月26日深夜、広東省韶関市の玩具工場で漢族がウイグル族と乱闘になった=ユーチューブの画像より
消えぬ民族問題、国家安定優先に

 
ウルムチ暴動が発生して以降、暴動に加担した疑いのあるウイグル族への徹底捜査の手は緩むことなく、深夜でもウイグル族の自宅に突然押しかけ、容赦なく連行していく繰り返し。ウルムチ市公安局は拘束した1500人余のうち、重要犯罪容疑者718人を刑事拘留(8月4日時点)した。

 しかも、本来ならば今月までに開廷予定だった同暴動に関する拘留者の裁判を突然9月に延期。延期理由も公表されていない。開廷して重罪に裁かれるウイグル族が増えれば国内外のウイグル族やイスラム国家の猛反発を招く恐れがあると見て、司法当局は審議を先送りしている。

 また、現地情報によると、同自治区内でのインターネット接続、国際電話を含む長距離電話は規制が続いており、完全に制限解除されるのは10月1日の国慶節(建国記念日)式典となる見込みだ。

 同自治区内で貿易を行っている外資系企業はネットと電話の規制が売り上げに悪影響を及ぼしているとして早期の規制解除を求めているが、自治区内の治安安定が最優先と見る中国政府は方針を変える動きはない。

広東省韶関市の工場で熱心に職務上の勉強をするウイグル族女性たち
 香港紙「明報」によると、暴動後、ウルムチ市内を巡回警備する軍人や武装警官の数は徐々に減っているが、急派された武装警察隊と特別警察部隊はウルムチ市内で長期駐在し、来年の春節(旧正月)まで撤退しないという。ウルムチ暴動の容疑者に対する審議開始についても同自治区検察当局は8月開廷を9月20日前後に延期し、10月の建国60周年の記念式典前に内外の民族分裂分子の反動を恐れているとしている。

 関係部門は暴動の首謀者グループの割り出しのためにDNA鑑定や指紋押収、現場証拠写真を通して徹底調査を進めて証拠集めをしているが、死亡した多くは単身で働く民工(出稼ぎ農民)で死体から身元確認ができないケースも多く、法医学による検死作業も遅々として進んでいない。孟建柱公安相は同自治区の公安能力について「事件への対応処理が遅く、いい加減」と突発事件への経験不足に苦言を呈している。

 元々、突発事件への即応能力に課題の多かった新彊ウイグル自治区の区都ウルムチで同暴動が起こった原因は、広東省韶関市の香港系玩具工場(旭日電子玩具工場)でウイグル族と漢族の従業員がデマ情報に翻弄されて死者を出す乱闘になった事件だ。

 旭日玩具工場は社員数が1万8000人。大半が広東省外からの民工(出稼ぎ農民)で、5月2日、ウイグル族従業員325人が新規採用され、その後も追加採用されてウイグル族は800人前後まで増えた。漢族やウイグル族を含め、従業員全体の平均年齢は20歳前後。6月25日、地元のネット掲示板上「同工場内の社員寮でウイグル族男子従業員6人が漢族女性従業員を襲った」との偽情報が書き込まれ、社員寮1階がウイグル族男性、2階が漢族女性となっていた構成上のことも悪い想像をかき立てられ、同工場の従業員の間に瞬く間に情報が広がった。

広東省韶関市内の工場で働くウイグル族の女性たち
 翌26日午前2時ごろ、これに怒った漢族労働者たちが鉄パイプを持ってウイグル族労働者の宿舎を襲い、双方合わせて1000人が乱闘となり、現場撮影の動画はユーチューブにアップされてアクセス数が殺到。ウイグル族2人が死亡、漢族を含む118人が重軽傷を負う事件に発展した。これがウルムチ暴動の発端である。

 ネット上に偽情報を流したのは職務態度の問題で同工場を解雇された民工(出稼ぎ農民)の漢族男性。韶関市の王青西秘書長の調査報告によると、朱と名乗るこの男性は「解雇され、むしゃくしゃしてデタラメをネットに流した」と供述している。

 一方、新華社通信は7月8日の英文電で「広東省河源市出身の漢族女性見習い実習生(19)が間違ってウイグル族男性の社員寮に入り、驚いて叫んだことが事件の原因」と報じ、同9日の華僑向け通信社・中国新聞社電では韶関市公安局の劉国強副局長の談話として「漢族実習生が間違ってウイグル族男性の社員寮に入ろうとした際、その場にいたウイグル族男性が声を上げたのが事件の原因」と証言。中国当局としては、この時点から漢族に不利な情報を抑制し、ウイグル分離独立派の情報画策を前面に出す動きに転じた。

 死亡したウイグル族2人は新彊ウイグル自治区出身の出稼ぎ農民。6月29日、遺体が出身地に空路、移送され、同自治区内に住む遺族の元に届いて葬儀が行われた際、ウルムチ周辺では「韶関工場の漢族従業員らがウイグル族女性従業員を集団強姦し、被害にあったウイグル族女性は400人」との未確認情報が広がった(香港誌「亜洲週刊」7月26日号)。7月7日、ウルムチ市内でウイグル族女性らが抗議デモを行った時、「韶関でウイグル族女性400人が強姦された」と未確認情報を信じて抗議したことからも伝聞情報の広がりは同自治区内のウイグル族社会で大きかった。

 ネットや携帯メールを通してデマ情報が流布する構造は中国で改善される見通しがつかない。公安当局はデマ情報流布禁止の通告を出しているが、漢族とウイグル族の間に横たわる習慣上の違い、価値観の違いは大きく、お互いの溝は埋め合わせるのに一朝一夕には行かない。韶関の工場では暴動の発生前も漢族とウイグル族の間で同じ作業工程の仕事でも漢族の給与がウイグル族より高いことに不満が出たり、韶関周辺の漢族住民は民工のウイグル族を「土匪(反社会的な賊)」「畜生」と蔑んで呼び捨てるケースが根強く残っている。

蔡昌芳韶関市民族宗教事務局長
 一方、新彊ウイグル自治区で有名なスイカの販売をウイグル族が漢族に行う場合、意図的に標準中国語が理解できないふりをして値段をつり上げるケースがあるなど、言語問題でも壁が厚い。韶関市の蔡昌芳民族宗教事務局長はこの課題について「韶関は少数民族の基盤が脆弱。宗教間の和諧を通して農業分野での発展強化が重要」と答えている(中国系香港紙「文匯報」1月7日付)。

 中国政府は少数民族への優遇政策ばかりを強調するが、少数民族が多く居住する自治区や都市だけ少数民族教育を推進しても、民工が流入する広東省のような地域でさらに啓蒙教育をレベルアップしなければ誤解から偽情報が広がり、暴動の要因となる民族間の溝は深まるばかりだ。


 




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