話題の人登場 2009年2月2日記(深川耕治)  最新中国株情報 WINTRADE

   



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欧州歴訪で外交力強化を図る中国の温家宝首相

 1月27日から2月2日まで、スイス、ドイツ、ベルギーのEU(欧州連合)本部、スペイン、英国の順で訪問した。旧正月期間の異例とも言える中国首相の欧州訪問は、世界金融危機で打撃を被る中国が欧州各国との貿易、政治的な協力関係を強化し、米国のオバマ新政権誕生直後の外交主導権をしっかり獲得したい外交戦略がにじみ出ている。

 スイスの世界経済フォーラム(ダボス会議)出席で欧州要人と精力的に会談し、ダライ・ラマ14世と会談したサルゴジ仏首相に反発してフランスのみ訪問を外す露骨な政治判断も際だった。

 3月の全国人民代表大会を控え、経済失速の責任論が当人に浴びせられかねない綱渡り状態であり、天安門事件20周年を6月に迎える温首相にとって正念場の一年となる。災害時の現地視察で人民と苦楽を共にする「人民総理」と評され、官僚汚職に厳しく戦うイメージは一般国民にも親しまれているが、数千万人単位の失業者増で前途は険しい。

 最後の訪問地・英国で「わが国は今年のGDP8%成長確保は非常に困難。ここ二年間で4兆元(52兆円)をインフラ整備による内需拡大、環境保護、被災地再建に投じ、保護貿易主義には反対する」「米国債を買い続けるかどうかは中国の需要、外貨の安全度による」と話した。

 だが、2月2日、ケンブリッジ大学で講演中に会場にいた男から「ここに独裁者がいる。なぜ大学は独裁者に身を売るような行為をできたのか」と罵声を浴びせられ、靴を投げつけられるハプニングも発生。内政、外交に暗雲が漂う。

 2月1日、ロンドンではチベット独立派の人々約200人が温家宝首相の訪問地近くで民主化要求デモを展開(写真左)、5人が警察に拘束された。中国では不況による失業者急増、社会不安が深まる中、3月10日のダライ・ラマ14世がインド亡命50周年を迎える目前に民主化要求はさらに激しさを増しそうだ。

 中国の胡錦濤国家主席はロンドンで4月に開かれる主要20カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)に出席し、オバマ米大統領と初の首脳会談を行うことが決まっている。北京五輪の次に行われるロンドン五輪に向け、米中欧が手を携えて世界平和に貢献する姿をアピールしたいところだが、イラクでのブッシュ前大統領への靴投げ事件を想起させる温首相への「靴投げ事件」を見れば、ロンドンでの中国民主化要求がさらに高まることが予想され、警備が厳戒態勢になることは確実だ。

 一方、上海閥の主役・江沢民氏や曽慶紅氏の政治力が働いて次期総書記候補のナンバー1に押し上げられた習近平国家副主席は2月8日から2月22日までメキシコ、ジャマイカ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジルの中南米五カ国と欧州南部のマルタを公式訪問する。中南米の資源競争で他国を大きく引き離そうとする外交戦略を進める中国にとって昨年3月、国家副主席に就任以来、初の外遊となり、安定したバランス感覚のある外交手腕が注目されている。

 1942年9月、天津郊外の教師の家庭に生まれる。北京地質学院(現・中国地質大学)卒業後、1965年に入党。北京で地力学を学び、甘粛省地質学局で地力学調査チームを統轄し、甘粛省地質局副局長、地質鉱山省次官を経て党中央委員、政治局員に昇進した。胡耀邦、趙紫陽、江沢民の歴代総書記に中央弁公庁主任として仕え、副首相を経て2003年、首相就任。党序列3位の66歳。

 北京で全国展開する宝石商(北京ダイヤモンド宝石公司)トップとして経営手腕を発揮する張培莉夫人とは、2006年秋、保守派の突き上げをかわすため形式的に協議離婚したとされる。香港紙「明報」は、党中央の専門チームが2007年末ごろから温首相の家族の「経済活動」を調査開始し、08年2月時点で違法行為はなかったとの調査結果を党内部で明らかにしたと報じ、離婚との政治的関係性も浮上した。元夫婦2人の間には一男一女。長男・温雲松氏はIT企業・ユニハブ社長、長女・温如春氏の夫も大連実徳集団の経営トップとして長者番付上位にランクインしており、香港や台湾メディアはその政治的副作用に注目している。(2009年2月2日=深川耕治記)



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