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2010年4月9日記 最新中国株情報 WINTRADE


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イケメン世捨て人「犀利哥」に脚光 中国
ネット発の有名人、続々と

格好良さの謎が注目の的


 江西省出身の元兵士で結婚後、出稼ぎに出て音信不通だった男性が一躍「時の人」となっている。浙江省寧波市内でホームレス状態のままタバコを燻(くゆ)らせて歩くイケメン俳優のような仕草の写真がネット上で紹介され、中国各紙やテレビ、英紙までもが報道。加熱報道ぶりで本人の身元が判明し、帰郷を果たして家族と再会した。その身の上が下層民全体の悲哀と重なり、貧富の格差が生むホームレスの生き様がネットから社会現象にまで発展している。(深川耕治=2010年4月9日記)

報道は和諧社会へ潤滑油か
最下層の不満、ガス抜きに


中国内外で注目の的となった「犀利哥」の写真=中国のネットフォーラム「天涯社区」より
 中国人で知らない人はいないほど有名になったきっかけは、写真投稿専門の国内サイト「蜂鳥網」に一般人が撮影投稿した1枚の写真だった。ボサボサの長髪、古着のオーバーにダボダボのすり切れたジーパン姿でタバコを吸いながら眼光鋭く寧波市内の路上を歩く姿をとらえた1ショット。ソニー製デジタルカメラの試し撮りだった。

 中国内最大規模のネットフォーラムの一つ「天涯社区」で2月23日、ネットユーザーが転載し、写真付きで「一瞬で虜になる超格好いい兄貴」と紹介されると、40ページにわたって書き込みが殺到。わずか1週間で「犀利哥(シリガ=眼光鋭い兄貴)」「ホームレス王子」との愛称で呼ばれるアイドル並みの人気者になり、数千人規模のファンサイト「ブラザーシャープ」まで登場。

 国内メディアは2月末から中国紙「晨重慶報」1面トップに写真付きで掲載されたのを皮切りに中国各紙や大手ポータルサイト、テレビでも紹介され、中国内で彼のことを知らない者はいないといわれるほど知名度が増した。

 国内メディアだけでなく、海外のファッション誌や英紙「インディペンデント」にも「金城武や渡辺謙を彷彿とさせる」「遠くを見る眼差しとモデルのように歩く姿は自信に満ちているように見える」と紹介。台湾では中天テレビのバラエティ番組「全民最大党」でモノマネ芸人が「犀利哥」のモノマネ芸をするほど関心が高まった。日本のネット掲示板「2ちゃんねる」でも「(俳優の)水嶋ヒロに似ている」「アンディ・ラウ似」と話題になるほどだ。

江西省の実家に11年ぶりに帰郷したニット帽姿の程国栄さん。交通事故死した妻と父の霊前でも無表情だった
 加熱報道で判明したのは本人の身元。男性は江西省●(番の右におおざと)陽県出身の程国栄(33)さん。南京軍区江西省南昌部隊の兵士として1998年の水害救済活動に従事し、昼夜の突貫工事で表彰されたこともある。21歳で結婚。二男をもうけた後、寧波市に出稼ぎに行ったまま、職に就くことができず、音信不通になっていた。父親や妻は昨年、必死に本人を捜している最中、交通事故死。悲劇としか言いようがない。

 内外のメディアで話題騒然となったことでホームレス救済に冷たかった地元・寧波市の救助ステーションは本人を捜し出し、必死で保護しようと説得したが、本人は拒否。時折、天を仰ぎ、嗚咽したり、情緒不安定になることもあった。その後、母や弟ら家族が直接探し出して11年ぶりに実家に戻った。ヒゲを剃り、イケメンとは違う風貌に変わった程さんは10歳と11歳の息子たちと再会しても片方の名前が思い出せない。父と妻の霊前に手を合わせても涙が出ないほど、世捨て人だった程さんは過去の記憶が薄れ、ホームレスとは違う日常生活に慣れないことが現地メディアで報じられた。

帰郷を果たして最初の食事を取る程国栄さん
 程氏は幼少期からかわいがってもらっていた祖母が他界してから精神病を患い、大変なスランプの時期を通過。軍隊に入隊し、結婚して吹っ切れたという。しかし、寧波に出稼ぎに出て仕事に就けず、実家に戻るに戻れない状況の中で精神を患い、故郷に11年ぶりに戻っても、精神的なトラウマ(心の傷)は治すまでかなり時間がかかりそうだ。母親がその心の闇を香港メディアなどに語っている。

地元で生活していた若いころの程国栄さん
 国内では商魂たくましい人々が「犀利哥」そっくりのファッションアイテムや顔写真を利用したTシャツなどをネット販売開始。社会現象となり、グッズ化し始めた。写真の肖像権を商標登録して悪用されることを未然防止するため、中国少数民族文化芸術基金会が国家商標局に正式登録して本人や家族の生活救済に当てる措置まで行うことに発展。貧者救済の新たな輪が広がる現象になっている。

 ホームレスが話題になるには、中国にもそれなりの素地がある。日本の人気漫才コンビ、麒麟の田村裕さんのベストセラー作品「ホームレス中学生」(中国語版タイトルは「無家可帰的中学生」)が中国でもブレーク。一人っ子世代が感動して読んでいるということから見ても、格差社会の投影とも言えそうだ。

 米グーグルの中国撤退など、厳しい言論統制が続く中国では最高指導部に直結する権力核心への批判報道は決してできないが、「犀利哥」の事例のようにネット報道を巡り、徐々に変化も見え始めている。

息子たちと再会を果たした程国栄さん
 たとえば、昨年6月、上海の路線バスの新人車掌になった20歳の女性がブログや動画サイトで「美人車掌」と紹介され、この女性が乗務する路線に市民らが殺到。また、西安市内の西安交通大学付近で甘菓子「糖葫蘆(タンフールー)」を三輪車改造屋台で売る19歳の女性が家族と共に出稼ぎに来た「美人売り子」としてネット上で紹介され、若い世代に人気急上昇。今年にはいると、国内ニュースサイト「華声在線」で北京の花火店の女性店員を「一番純真な花火売り」として写真付きで掲載し、次々と話題になっている。

英高級紙「インディペンデント」に掲載された記事
 「犀利哥」を含め、これらの中国独自の新ネットアイドルは農民工(出稼ぎ農民)を含む中国の低所得者層。中にはネットで注目を集めた後、国内各紙やテレビで取材報道され、国民的な人気が出る新現象が中国型の「言論の自由」を模索するテストケースとも見て取れる。

 官僚の汚職は増え、富裕層と低所得者層の貧富格差は拡大する一方、農民工など弱者は政府への不満と社会不安が拡大。中国政府としては、和諧社会の実現を目指し、低所得者層の不満をそらすためにも「低所得者層から発掘されるネットアイドルの輩出は中国政府にとって社会不満へのガス抜きに有効」(香港紙「りんご日報」)との見方もあり、中国官営メディアも、これらの報道には規制が敷かれず、むしろ便乗している。



 




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