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2010年7月22日記 最新中国株情報 WINTRADE


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功罪問われる三峡ダム 中国
完成以来、過去最高水位に
大雨による洪水被害拡大
 
中国の長江(揚子江)中流域にある世界最大級のダム「三峡ダム」の水位が2006年の完成以来、過去最高レベルに達し、放水量を急増させて洪水被害が周辺に拡大している。大雨による洪水被害は四川省だけで1000万人以上。ダム建設の功罪が改めて浮き彫りになっている。(深川耕治、写真も=2010年7月22日記)

人災的側面、洪水抑制効果に限界も
ダム湖斜面で地滑り頻発
黄河や松花江の洪水発生危惧


重慶の長江下りの出発点となっている朝天門の港。ナイトクルーズも人気だが、洪水時は航行禁止となり、被害も拡大している=深川耕治撮影
 三峡ダムは重慶市から湖北省宜昌市の一帯にある重力式コンクリートダム。1993年着工、2006年5月に本体工事が完成し、本来は下流域の洪水抑制、世界最大の水力発電所建設による電力供給、水運の利便性向上が主目的で建設された悲願の国家プロジェクトだ。

 洪水が抑制されるはずの巨大プロジェクトだった三峡ダムが建設されて以来、大規模な洪水被害はなかったが、建設途中の1998年夏、長江大洪水では4000人以上の死者を出す大災害となった。ここに来て、1998年の大洪水を上回る規模の洪水発生が予想され、ダムの存在に洪水抑制の能力を疑問視する洪水被害が相次いでいる。

 7月19日午後8時、三峡ダムの水量は今月上旬から続く大雨の影響で毎秒6万9000トン流入し、1998年の長江洪水の水位を超えた。20日午前には毎秒7万500トン流入し、3万3千人の死者を出した1954年以来最高を記録。三峡ダムでは毎秒3万4000〜4万トンの水を放出して対応しているが、「半世紀ぶり最大規模の大洪水」(中国紙「武漢晩報」7月19日付)が長江流域を直撃している。

重慶から出発する長江下りの途中の風景=深川耕治撮影
 三峡ダムの下流にある湖北省は今後の洪水被害を憂慮。国営新華社通信も「湖北省の長江流域や漢江流域の水位が上昇し、20年来で初めて二大河川の氾濫被害が予想される緊張した局面」と警戒を呼びかけている。

 三峡ダムの上流にある重慶でも19日の時点で31万人が床下浸水や土砂崩れによる被害を受け、18日から船舶の航行禁止令が発令された。観光名所である長江クルーズの出発点である朝天門や人気観光スポットである磁器口など標高が低い場所は水浸しになったり、停電も相次ぐなど経済的被害も甚大だ。

 故・ケ小平氏の出身地である四川省広安市は168年ぶりの大洪水に見舞われ、市内の水位は平均25メートルになり、二階建て以下の建築物は水没する事態に陥った。

河南省鄭州市郊外の黄河南岸流域。中国政府の予想では洪水被害が少ない黄河でも今年は豪雨で洪水の恐れがあるという=深川耕治撮影
 この深刻な事態に対して三峡ダム管理当局は「ダムは毎秒9万8000トンの洪水まで制御できるよう設計されている。洪水の調整管理は安全、正常に行われている」と三峡ダムの安全性に自信を示し、三峡ダム調度センターの袁傑主任も「もし、三峡ダムがなければ長江中流の湖北省などの都市で洪水回避ができず、経済被害は数億元に達していただろう」と三峡ダムの建設意義を強調する。

 三峡ダムは正常水位を175メートルに保ち、洪水期に145メートルまで下げることで約221億トン分を放流してダム上流での洪水被害を軽減するとしているが、ダム建設を通して上下流域の既存部分での被害軽減が可能な一方で、脆弱な土地部分で新たな地滑りや土砂崩れが頻発し、大洪水の場合、人工での水位調整で新たな被災拡大が発生するリスクは説明すらされていない。実際、ダム完成後、2008年末までに132カ所で崖崩れが発生し、5000カ所以上で地滑りや土砂崩れが発生する恐れがあるとの調査結果(三峡ダム地質災害防止作業指導事務室)も出ている。

河南省鄭州市郊外の黄河南岸流域。中国政府の予想では洪水被害が少ない黄河でも今年は豪雨で洪水の恐れがあるという=深川耕治撮影
 中国工程院院士の沈国舫氏は「健全だった河川の流れがダム建設や埋め立てで堰(せ)き止められてしまうのが洪水発生の元凶」と三峡ダムの人災的側面を批判。湖や河川の自然な流れを強制的に阻む人工のダム建設が洪水被害を増幅させているとの見方だ水資源環境の研究専門家の間では「経済発展を最優先するあまり、湖や河川を造成して埋め立て地に変えることで貯水管理能力が激減したことが洪水発生の主因」(金伯欣氏)との厳しい意見もある。

 中国水利省の劉寧次官は7月21日の記者会見で7月初旬から続く豪雨による全国的な洪水被害状況について「27の省・自治区・直轄市で1億1300万人が被災し、701人が死亡、347人が行方不明。倒壊家屋は64万5500棟に達し、経済損失は1422億元(1元=13円)、805万人を緊急避難させている」と発表。洪水被害救済対策に人民解放軍や武装警察、民兵ら200万人を動員して現地で対応に当たらせている。

 また、劉次官は「7月21日、遼寧省の遼河流域で3000人以上が堤防決壊で流される被害を受けているように、これまで大洪水が発生していなかった黄河、海河、松花江、遼河など北方の河川で大洪水が発生する可能性が増大している。今年は6〜8の台風が中国大陸に上陸する可能性があり、上陸して北上すれば洪水のピーク期である7月下旬から8月上旬の期間と重なって大規模な洪水被害を起こす可能性が高い」と述べ、黄河、松花江など長江より北部にある大河川での洪水発生を憂慮している。


 




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