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2008年1月24日記 最新中国株情報 WINTRADE


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受験教育と大企業志向が顕著/一部NGO、腐敗分子と連携
中台統一は理性的に/留学組の米優先思考に懸念

中央党校国際戦略研究所 趙黎青教授

 中国社会の現状や中台関係について中国中央党校国際戦略研究所の趙黎青教授に聞いた。
(聞き手=香港・深川耕治)


中央党校国際戦略研究所の趙黎青教授
 ――中国内で起こる反日・抗日運動の原因は何か。  釣魚島(尖閣諸島)問題や天然ガス田開発問題、教科書問題、靖国神社参拝問題など歴史問題が未解決のままであることへの憤りだ。一部の日本の政治家や右翼勢力が中国人の歴史認識や利害を大きく損ねるような言動をすることも大きい。これに対する民間の反発は政府以上に非常に強い。知る限りでは、政府は民間の過剰ともいえる反日活動を煽(あお)ったり、支援することは決してなく、逆に抑え込むほどだった。中国政府は理性に基づき、客観的な立場から判断するが、民間は理性よりも感情が先立った方向に動きやすい部分がある。

 ――中国内の反日運動は実は矛盾を抱える中国内の貧富格差や党幹部汚職などへの不満を政府へ向ける裏返しとの見方も一部であるようだが。  それはまったく関連性がない。民間の抗日運動は、仕事上の犠牲など大きな代償を払ってでも行動している。

 ――NGO(非政府組織)が中国でも公認され、組織化されたのは欧米の影響が強いのか。  NGO自体、国連と連携して欧米から生まれたので、その影響はある。二〇〇五年までに二十七万以上のNGOが中国で合法的組織として認可されている。この潮流は市場経済の中で当分続いていくだろう。〇五年以前は、NGOを名乗る組織はもっと多く存在したが、法律上、届け出による許可制度がなかったので、制御する縛りがなく存在していた。

 ――政治的なカラーを持ったNGOも合法化されているのか。  外国のNGO約一千団体が中国内で貧困救済や環境保護活動を行っているが、中には不正な金銭処理を行ったり、中国内の腐敗分子と手を組んで医療廃棄物処理や慈善活動、公益活動を行うケースが増えており、懸念されている。

 ――改革開放以来の教育をどうみるか。  いわゆる受験教育が中心となってしまった。良い大学に入学し、大企業に就職して高収入を得て豊かな生活をしていくことが目標になった。実利のみを追求しがちな偏った価値観となったのは、この世代の受けた教育の影響と言えるだろう。文革によって過去の文化や伝統が徹底的に破壊された。文革以降、中国共産党がはぐくんできた愛国教育さえも影響を受けている。
趙黎青教授

 ――愛国教育のどの部分が影響を受けたと見えるか。 スポーツの分野では、オリンピック選手などには「国のために」という愛国心を持った若者はいるが、メダルを獲得すればどれぐらい稼げるのかという実利優先の価値観で考える選手が増えた。国のためよりも個人の実利のためを優先する傾向が出ている。

 ――今後、中国の青少年教育で新たに必要なものは個人的に何だと考えるか。  中国の伝統にある良きものは、さらに追究していかねばならない。親孝行、兄弟関係の絆(きずな)や助け合いと和。西側にも通じる社会共同体として国民意識を高める教育などだ。ただ、西側の教育を盲目的に模倣してはいけない。国内外で課題を模索し、有機的な生命力あふれる教育をつくり上げることが、これからの中国に不可欠だろう。

 ――欧米ではキリスト教による倫理道徳が価値観の底流にある一方、中国では歴史的に道教や仏教、儒教などの宗教的価値観があるが、中国の伝統にある良きものとは、それらを指すのか。  大きく包括すれば、それらも含まれるだろう。欧米では宗教に対して包容力があるが、基本は政教分離の原則がある。個人的には欧米の政教分離の原則は正しいのではないかと思う。中国でも政教分離は大原則であるべきだ。中国でも宗教の自由はあるが、政治や教育とは切り離してとらえるべきだ。  ――冷却する中台関係を今後、どう打開していくべきだと考えるか。  理性的な方法と非理性的な方法があると思う。理性的な方法であれば、平和的に(中台が)同等な立場で統一を目指すことになる。現段階では具体化していないが、両岸双方が納得できる大原則を構築していくならば、経済交流問題も進展するだろう。

 ――台湾の民進党政権は中国政府との対話が進まず、むしろ、最大野党・国民党や第二野党・親民党の党首らが訪中し、政党間の交流が促進されている。二〇〇八年三月の台湾総統選挙では与野党一騎打ちの様相だが、仮に国民党の馬英九総統候補が当選した場合、中台関係が改善するとみるか。  大きくは改善できないだろうとの見方が台湾であるようだ。ただ、真に終極統一を目指す人物ならば、何らかの統一に向けての動きがあるだろう。彼の個性でもあるようだが、細かい言動を見ると、対中関係について原則的な政策が定まっていない部分も見える。周囲の意見ばかり気に掛けると指導者として意思が弱まり、自らの政策を曲げて何もできなくなってしまうものだ。中国に対する認識不足もあるだろう。米国式の教育を受けているので、それを用いても対中外交では合わない。
趙黎青教授

 ――米国留学組の馬英九氏だが、台湾の民進党支持者、台湾本土派の人々は馬氏について、香港生まれで父親も中国生まれなので思考が中国人そのものとの指摘もあるが。 そういう批判があっても支持率は依然として与党側より高い。台湾本土派にも一定の支持があり、他の指導者に比べて支持基盤が広いように見える。馬氏は自身が二期目の台北市長選で「新台湾人」という表現を使って支持を取り付け、再選されている。これは外省人(戦後、台湾に渡ってきた人やその子孫)だけでなく、本省人(戦前から台湾に住んでいる人やその子孫)にも一定の支持があることを意味するのではないか。

 ――米国留学による教育の影響が、対中外交上、合わないとはどういうことか。  米国式の教育を受ければ、米国優先の経済政策、法律制定の思考になる。米国優先の考え方では中国には通用しないので、その点を調整していく必要がある。米国で成功した中国人が帰国後、必ずしもうまくいかないケースが多いのはこの点にある。

 ――海亀派(海外留学後に帰国する中国人)に対する評価が必ずしも高くないということか。  海帰派(海亀派)は欧米留学後、中国に戻って中国のために何らかの貢献をしようとする人々や、帰国後に事業で収益を上げようとする人々など多様だ。初期の海帰派は非常に能力も高く、国家への貢献意識も高い人々だった。留学先に残らず、かなり高い確率で帰国していた。その後、欧米留学組の中には中国に帰国しないケースも増えたが、自然の成り行きの部分もある。逆に西側の愛国教育に触れたことで、中国への愛国心を高め、帰国するケースもある。米国では国旗への忠誠を学校行事で大切にしている。愛国教育では中国も積極的に受け入れるべき部分として留学生らは認識し、帰国するケースが多い。

(聞き手=香港・深川耕治)



 趙黎青 1956年青島生まれ。蘭州大学政治経済学系に入学し、マルクス経済専攻。卒業後、復旦大学大学院で国際経済を学び、修士課程を修了。86年から中央党校で講師となり、教鞭(きょうべん)を執る。95年から97年まで、ロンドン大学でNGO(非政府組織)の研究を行う。98年10月、清華大学で中国初のNGO研究センター開設に携わり、同センターに2000年まで勤務。同年末、訪米し、ワシントン市内の大学でNGO研究。現在、中央党校国際戦略研究所教授。







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