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2009年10月8日記 最新中国株情報 WINTRADE


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政治ネタ漫談 人気沸騰 中国・上海
タブーに風穴、政府も評価 「周立波」現象

歴代指導者も登場、抱腹絶倒


 中国では現政権や党指導者を政治ネタにしたお笑いを公衆の面前で行うことはタブー視されてきた。上海では最近、コメディアンの周立波(42)がタブーに風穴を開け、歴代の政治指導者や政治状況を透徹したシニカルな表現で大爆笑を取る海派清口(上海漫才)と呼ばれるお笑い芸が大ブレイク。少数民族問題や貧富の格差で不満が渦巻く建国60年を迎えて政治問題で言論封殺が続く中、単なるガス抜きとは違う社会現象である「周立波現象」は党指導部も一定評価しており、お笑いが文化面での「改革開放」となるのか、新たなソフト・パワーとして注目を集めている。(深川耕治=2009年10月8日記)

不満渦巻く世相コミカルに
笑いで文化の改革開放へ


中国人観衆の心を一瞬にしてつかむ周立波
 上海の静安区にある美h大戲院。一人のコメディアンの140分間にわたる独特のお笑い漫談を聞くために聴衆は高いチケット代を惜しまず、1300人収容の会場は毎回満員御礼。1回の公演で平均640回の笑いが沸き起こる。一人舞台では毛沢東、江沢民前国家主席、温家宝首相のモノマネや発言内容を使った風刺、さらには中国共産党、文化大革命、一党独裁の政治宣伝や専制、台湾問題に至るまで時事や政治ネタを縦横無尽に駆使して聴衆を笑いの渦に巻き込んでいく。

 政治に過敏な北京とは文化的土壌が違う中国大陸の一大金融都市・上海で政治ネタのタブーが破られ、一躍急上昇したのがピン芸人の上海コメディアン、周立波氏だ。

 彼は江沢民前総書記が提唱した「三つの代表(共産党が人民の利益、先進的な生産力、先進文化の三つの代表になる)」理論について「庶民にとっては電気代、水道代、ガス代3つの支払い
中国人観衆の心を一瞬にしてつかむ周立波=ビデオ映像より
がもっと重要」と庶民感覚の視点で笑いを取る。中国の革命戦争映画については「登場する英雄は何万発も銃弾が飛んできても被弾しない。死ぬ直前に入党申請書を懐から取り出して、最期に党費を払おう」と舞台で堂々と話す。

 周氏本人は中国共産党の党員ではないが、党機関紙・人民日報から国内主要各紙、雑誌に毎日3〜4時間は目を通し、ネット閲覧は欠かさない。休日は自宅で一日中、読書する徹底した勉強家。「私は本当の意味での愛国芸術家。中国共産党の批判を言うのは不可能と思っている人も多いが、私は共産党の弱点や不公平な点は何かを指摘するし、笑いの中に厳粛に凝縮されている」と愛国的芸術であることを強調する。

 許宗衡・前深セン(土ヘンに川)市長が汚職で更迭された事件も舞台で面白おかしく痛烈批判。「2007年11月から1年間で犯罪に手を染めた党幹部は15万人。でも7000万人の中国共産党員のうち15万人が党籍を剥奪されたとしても、全世界で党籍剥奪率0.02%は最低」「私は無党籍のままだが、万一、入党したら2年後には0.02%の割合に入ってしまう」と会場を沸かせる。

 新中国建国60年を振り返り、貧富の格差拡大で貧民の苦しみが政府に伝わらないとの民衆の不満や怨念は増すばかりだが、「周立波現象」は、ウイットの効いたお笑いによる政治風刺が一党独裁の中国でも社会発展の健全な活力につながり、「嘆きの声」を抑止できる方法として有効との意味合いがある。

周立波が1978年からの30年間をコミカルに演じる大人気の舞台用ポスター
 過去60年を周立波流に表現すれば「前半30年は笑うしかなく、笑って悲しみが込み上げ、涙をこらえる時代。後半30年は拝金主義で笑ってもバツが悪く、笑うと恥ずかしくて気が咎(とが)める時代」だった。

 香港週刊誌「亜洲週刊」によると、温家宝首相は自分をネタ(今年2月、英ケンブリッジ大での講演中に靴を投げられ、「こうした卑劣な方法で中英両国の友好関係が損なわれることはない」と言って講演を再開した事件)にした周氏の漫談について会議で「上海の周立波は私の真似をして笑いにした。心穏やかに受け入れられる」と述べ、李長春党中央政治局常務委員は上海視察時に「周立波現象は研究する価値がある。上海の各部門は専門機関を挙げて周立波現象を徹底討論し、プラスの反応が圧倒的に多かった」と高評価している。

周立波が演じる「我為財狂」」の舞台用ポスター
 政府上層部の非公式な容認で活動圧力を受けず、周立波の人気はうなぎ登り。昨年12月、改革開放30周年を記念して「お笑い30年」のタイトルで31回公演し、2万8000人が来場。総収入650万元(約1億円)を稼ぎ出し、今年5月に公演開始した「お笑い大上海」や「我為財狂(おカネ熱狂)」は数ヶ月先まで予約で埋まった。一人380元(1元=13円)のチケットがダフ屋で800〜1500元で売買されるのが日常となり、最高3000元で売られるケースもあるほどの人気ぶりだ。

 公演DVDは国内だけでなく、海外華人にも飛ぶように売れる。最近は上海の財界VIP向けに超高値の数十人限定のライブを行ったり、上海将棋大会開幕式で講演するなど、引っ張りだこ。講演料も売れっ子経済学者の数倍高く、100万元を超すこともあるという。

言論封殺に一縷の光

 中国大陸では公衆の面前で政治や指導者を題材にしたお笑いはタブーだったが、香港、台湾ではコメディアンが各メディアを通して政治家を含めた有名人のそっくりさんになって形態模写をしたり、政治社会情勢を酷評して笑いにすることが日常茶飯になっている。中国本土客の観光ツアーが解禁になり、香港、台湾での政治風刺が中国人の笑いのツボにはまり、台湾メディアで周立波現象が取り上げられたり、中国人観光客に強い影響を与え始めたこともタブー解禁につながったようだ。

台湾で有名人そっくりのコメディアンが出演するバラエティ番組「全民最大党」が中天電視(CtiTV)で高視聴率を取っている
 香港では陳水扁政権樹立時から陳総統(当時)や呂秀蓮副総統(当時)のそっくりさんが登場するお笑いドラマがちょっとした人気を博し、最近も曽蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官のそっくりさんによる政治風刺ショーや政治・芸能・文化・社会・経済に関する有名人のそっくりさんが討論バトルを展開する地上波テレビ局・亜洲電視(ATV)の爆笑番組「香港乱●(口ヘンに翕)」が人気。民主化が進む台湾でも同様の有名人そっくりのコメディアンが出演するバラエティ番組「全民最大党」が中天電視(CtiTV)で高視聴率を取っている。

 上海行政幹部学院の周東華教授は周立波現象について「単なる文化表現ではなく社会文化現象。実証性とニュース性のある事件を独自の観点で演じることでメディアに絶大な影響を与えており、深く洞察していく価値がある」と評価している。周立波現象が中国国内で上海に限定されたものに終わるのか、中国全土に広がる突破口があるのか、政治に関して言論封殺が続く中国で文化面での改革開放の是非が真に問われる時代が到来している。


 




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